夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

透き通った綺麗な海。まるで別世界へ来たようだ。

飛行機から高速船に乗り換え、諸島の一番大きな島から40分ほどの移動時間で、目的の島の漁港へ到着。

次々と降りて行く人達は、それぞれのツアーガイドに従って天然のビーチに行く人、離島を散策する人、離島から少し離れた『奇跡の島』にシュノーケリングに行く人に移動して行く。

そんな中、ポツンとひとり残された私。

確か、迎えが来るって話だったけど…と辺りを見回すと軽のワンボックス車の窓から、じっとこちらを見ている人物と視線が重なった。

少し日に焼けたた肌、短い髪を後ろへ無造作に流したヘア。凛々しい眉が眉間に寄って怖く感じるが、切れ長の目、すっとした高い鼻、薄い唇がとてもセクシーな男性だった。

だが、聞いていた男性像ではなかったので、自分の迎えではないと思っていたら、声がかかる。

「あんた、松浦さんじゃないの?」

「松浦ですけど」

「なら、乗りなよ。迎えに来るほどの距離じゃないけど」

感じの悪さに男性を見つめる。

「…日暮さんから、松浦 亜梨沙さんを案内してほしいって頼まれたんだけど、乗るの?乗らないの?どっち?俺はどっちでもいいけど。帰るなら、今乗ってきた船が1時間後に出るから帰れば」
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