夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
「そんな輩は招待されてないよ。ただ、久世の親族連中が喜ぶかもしれないね」
「じゃあ、完璧じゃないとダメじゃない」
「名ばかりの親族というだけだ。お父さんの眼鏡にかなう人物はいなかった雑魚ばかり。負け犬の遠吠えでしかない。何か言ってくるようなら、私が亜梨沙の壁になり守るから、安心して失敗していいんだからね」
「…ふっふふふ。安心して失敗しろなんていう親は、お父さんだけだよ。ありがとう、少し気持ちが軽くなった気がする」
生活がガラッと変わり、跡継ぎ、婚約者を決めないといけないプレッシャーに、気を張っていたのかもしれない。
翌日、父の友人がいる離島へ向かった。
父に何か言われたであろう祖父は、見送りにも出てこなかった。
母曰く、初めて父に論破されふて寝しているとのこと。
いつもは頼りない父が、娘の為に頑張ってくれたらしい。
指定された離島へは、飛行機から高速船で移動した。
諸島の中の一つで、人工100人にも満たない周囲4キロほどの小さな島を珊瑚礁に囲まれ、ほとんどが自然のままで美しい島へ。
夏休み真っ只中だからか、家族連れやカップルが船内にいる。