夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
理玖に会える日を楽しみに、お稽古事に勤しんでいたある日、いつものように、迎えの車を持っていると、車が目の前に止まり、後部座席の窓が下がり勅使川原様が顔を見せた。
「亜梨沙さん、お送りしますよ」
「いえ、折角のお申し出ですが、迎えがきますので結構です」
警視庁にお勤めとは聞いたが、運転手つきって…偉い人なの⁈
なんとなく身構えたら、『警戒されなくても』と笑い、どこかに電話をかけだした。
「勅使川原です。今、亜梨沙さんといるのですが、彼女にお話がありまして、私の車でそちらまでお送りしようとお話してるのですが、亜梨沙さんが警戒されるもので、許可をいただきと思いまして…」
通話相手の了解を得たらしく、私に彼のスマホを渡してきた。
『亜梨沙か、勅使川原君に送ってもらいなさい』
「…はい」
祖父の一言に、送ってもらうことが決定なのだと諦め、開いたドアの後部座席に足を向け車に乗り込んだ。
「ありがとうございました」
渡された彼のスマホを返したが、不満顔は隠せてなかったらしく、勅使川原様は、『クックク』と笑って運転手さんに行き先を告げた。
「私が理玖くんじゃなくて、申し訳ありません」