夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

「乗り換えません。私には理玖だけです」

「残念です」

どこまで本気なんだかわからない勅使川原様に困惑する。

「さて、本題ですが…東海林 孝臣を覚えていますか?」

「はい。私の婚約者候補のお一人でした」

「そう、過去形です。私もまだ候補者の一人ですが、御大が懐に入れた時点で事実上、もう理玖くんに決まっています。ですがね、納得しない者も一人や二人じゃない。正式な彼のお披露目がまだの今、彼らは、扱いやすく脳内が自分中心である東海林に入れ替えようと躍起になっています。もちろん、東海林も踊らされ、まだ諦めていない。なので、亜梨沙さん、身辺にくれぐれも気をつけてくださいね。あなたが攫われ汚されては、後継者争いが勃発しかねないのですよ。まぁ、理玖くんはあなたに何があろうと愛するのでしょうけど。私には、できないことができてしまう彼が羨ましい」

『彼を犯罪者にさせたくないでしょう。彼が罪を犯せば、私がうまくもみ消すのですが、すると私も犯罪者になってしまいます。くれぐれも気をつけてくださいね』

考えたくもない脅しを言い残し、私を送り届け帰っていく車。
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