夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
「お、お爺ちゃん」
家に帰るなり、真っ先に祖父の部屋に駆け込んだ。
「何が起きてるの?」
「聞いたか?」
「聞いたかじゃない。理玖や勅使川原さんを犯罪者にしたくないなら、身辺に気をつけろって脅されたわよ」
「脅されたか。お前に何も起きないよう警護はつけてる。だが、万が一がある。お前は身を守る術を知らんし、家にいるのが安全なのはわかっている。でもの、この機会に親戚連中の中にいる欲にまみれたウミ共を排除する機会でもある、東海林のバカ息子が、踊らされて何か企んでいるという情報が入った時点で、警察も動いている。だから、勅使川原も亜梨沙に接触したのだろう。わしはの…次のお前達の世代にウミを残して死ぬのは心苦しい。お前の父親では、優しすぎる。かと言って、理玖では、太刀打ちできまい。だからの…お前を囮にすることにしたのだ。…久世の名を悪が継げばどうなる⁈善にはならん。わしは、久世を守る為なら、鬼になる。こんなジジイは憎かろう。許せとは言わん。このまま囮になってくれないか?」
涙を堪える祖父の手が震えている。
「いやよ。せめて身を守る道具ぐらい持たせてよ」
「亜梨沙…いいのか?」
「囮なんて怖いし嫌よ。一生恨んでやるから。でも、私は久世の血を残す女なのよ。私の子供の父親は理玖しかいないんだから、囮に使うなら自分の身は守れるぐらい武器を持たせてよ」