夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

「東海林さんとこの孝臣くんは、どこかのボンクラ御曹司より向上心もあるし、話も上手い。政治家連中とも対等に会話できる能力も、見た目も誰かさんとも負けてないと思うがね」

ボンクラじゃないし、見せないだけでやる時はやる男だし、話だって面白いし、飽きないし、顔も声もタイプだし、エッチだって上手いんだから!東海林なんて、嫌悪感しか感じないわよ。

「久世の名を継ぎたいと真っ先に亜梨沙ちゃんに話てたそうじゃないか。第一、孝臣くんは、亜梨沙ちゃんに一目惚れらしい。横から掻っ攫われて、自分のいるべき場所に、顔だけしか取り柄のない能無しがいると泣きつかれてね…わしはどうしたらいいのか思案したよ」

黙って聞いてればよくも、堂々と理玖をdisってくれたわね。東海林 孝臣も許さん。

グッと堪えて怒りに震えていて、油断していた。

この相手こそ、油断ならない男だということを。

「上坂のお爺さまには申し訳ありませんが、私の心は、既に理玖様のもの。(身体もだけど)東海林様のお気持ちは理解しましたけど、他の方なんて考えられません」

「困った。孝臣くんになんて言おうか」

そのまま言えばいいんじゃないの、ボケてるの?

付いていた杖をアスファルトで二度ほど鳴らすと、どこからかゆっくりと車が横付けされ、運転手が後部座席のドアを開ける。
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