夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
「ぶちゃいくだぞ」
そういうなり、唇が触れた。
すぐに、わざとらしい咳払いが聞こえる。
「あー、すみません。つい、久しぶりだったもので」
そこには、両親がそれぞれの表情で立っていた。
不機嫌な父と怖いくらいの笑みを浮かべる母。
お説教だろうな…と身構えたのだったが、理玖を押し退けて左右から両親に抱きしめられた。
そして、ここが病院で、特別室だと知る。
備えられた高級感のある応接セット、テーブルを挟んで一人がけソファに座る父と母。
3人がけのソファに座る私の隣には、理玖がいて、手を握っている。
『「無事でよかった』わ」
「私、無事だったの?」
「当たり前でしょ!拉致られるなんて…お母さんの寿命縮んだわ。というか、囮なんて危ないことして、お爺さまも影で孫に危ないことをさせるなんて許せないわ。あなたもよ」
安堵したのか怒りがヒートアップしていく。
「僕は、反対したんだよ。でも、当主の言うことには逆らえないよ」
「それでも、あなたは父親ですか。見損ないました」
この場を止められるのは、私しかいないようだ。
「目が覚めたばかりでわからない事だらけだけど、上坂のお爺さまはどうなったの?」
「捕まったよ。まぁ、勅使川原がいろいろと動いてくれていたから、お前は無事だったんだぞ」
わかってるのかと理玖に頬をつねられる。
「そうだったんだね。お礼しなくっちゃいけないね」