夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
「どれも役に立ったなかったけどな」
「うっ…言い返せない」
「俺が、手を回して勅使川原と手を組んだから、私服警官も配備して、覆面にも気がつかない上坂の爺さんが、のこのこ出てきて逮捕に繋がったんだぞ」
おでこにデコピンが飛んできた。
地味に痛い。
「勅使川原さんと手を組んだっていうけど、東海林 孝臣の件もでしょ」
「あー、表向きはニュースの内容と大差ない。あいつはの罪は、売春の斡旋や密貿易だけじゃないんだよな」
「他になにあるの?」
「家の力でいろいろと隠蔽してきたんだろうが、あんな奴が、お前の婚約者候補に上がってたなんて、虫唾が走る。上坂の爺さんも見る目がない。手のひらで転がすつもりでいた駒に、逆に利用されただけなんだよな。爺さんもわかっていながら、亜梨沙を囮に使って上坂の爺さんを潰したんだ。もっと、上手いやり方があったと思うのに、餌だけまいて、あとは俺に丸投げ。『理玖よ。久世の害虫退治、お前ならどうする?』って」
「あれ?お爺ちゃん、計画は完璧って話だったけど…」
「あのジジイ。俺を試してたんだぜ。俺なら勅使川原と手を組むだろうことも、東海林の裏をとることも見抜いていたくせに、東海林が暴走することまでは見抜けなかったらしく、ショックだった上に、おばさんの怒りがすごくて倒れたんだよな。あれは⁈」