夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
なので、まぁ、キス以上のことはまだで…そろそろ、理玖の限界値がきてるらしく、何かといやらしいことを囁いてきて困る。
お爺ちゃんが退院するまではと、向こうも思ってくれていて我慢しているのだろうけど、禁欲が解禁になる日が恐ろしいと思う反面、期待している自分もいて…
「おかしくなりそう」
と、自身を抱きしめるのだった。
祖父の入院は、人より長い入院期間だった。年齢的なものがあるのか、経過が心配なのか術後も病院でのリハビリに時間がかかり、退院は、入院からの約2ヶ月後の理玖のお披露目の前日。
「爺さん、いい加減にしろよ。こっちの我慢も限界だっての」
「なんの我慢じゃ。わしなんて、口に合わない病人食を我慢してたわい。怖い師長がわしを叱るんじゃぞ」
「わがまま言うからだろ」
「わがままなものか。なぁ、百合子さん…」
まだ例の件で祖父への母の態度は冷たくご機嫌伺いの表情で、話しかけたのだろう。
「お父さんだけが患者さんじゃないですからね…頻繁に呼び出しは可哀想でしたよ」
「だっての…お前達、理玖のお披露目準備であまり顔も出してくれんし…百合子さんは冷たいし…」
「自業自得ですよ」
どんどん萎れていく姿は、最初に会った時の威厳あるお爺ちゃんは見当たらない。
最初は老害と思っていたが、こうして慣れてみると可愛い年寄りだ。