夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
翌日は、とても暖かく、いいお天気だった。
春らしく、色付きだす花々。
離れの部屋から見える大きな桜の木は、満開になっていて見応えがある。
出会ってから、一年も経たないで、理玖と婚約者としてお披露目に出るなんて知っていたら、あの日別れを選んだ私に言ってやりたい。
『この人は運命の人だよ』って。
「うーん、準備しよう」
両腕を上に伸ばしながら、強張った体をほぐした。
流石に、1人用の布団で2人で寝るのはきつかったらしく、理玖も起きるなり腕を上に伸ばしていた。
「おはよう」
「おはよう」
「私、着付けとかあるし、ご飯を食べてすぐホテルへ直行するね」
「了解。俺は夕方まで何するかな?」
「ご飯を食べたら、後継者の挨拶練習じゃない。私も、お爺ちゃんにいっぱいレクチャーされたし、久世のなんたるかとかお小言つきで」
「はぁー、勘弁してくれ。爺さんと2人きり、いや、親父さんと2人もきついけど、婿になって、これからこの家で暮らしていくんだし、仲良くはするけど…あの人ら、お前いないところでは口が悪くて容赦ない。まるで別人だからな」
「まさか、見たことないよ」
「お前が可愛いから、嫌われたくないんだろ」
「理玖くん、いつまで寝てるんだい。まだ婿にもなってない居候のくせに、いい身分ですね」