夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

両の手のひらを肩の高さまであげて、素っとぼける理玖は、緊張感もないらしい。

「ほんと、君は…」

嫌いだって言おうとしたんだね。お母さんの鋭い視線にお父さん我慢して偉い。

トントンとノックされ、「そろそろお時間です」と案内される。

会場前には、お爺ちゃんのお付きの倉本さんが、指揮を取り、『準備万端です』と合図する。

入場口が開き、中いる招待客は一斉に振り向き、こちらを静かに見守っている様子。

自然と作られた通路をお爺ちゃんを先頭に、私と理玖が並びついて行く。そして、その後を両親がついて来る。

壇上に上がり、家族で頭を下げてのご挨拶後、中央にあるマイクスタンドの前に立った祖父を皆が注目。

「本日は、2人の門出に相応しいお天気に、うちの庭の桜は、満開でした。2人の新たな出発地点に皆様が集まってくださった。まだまだ未熟者、険しい困難も待ち構えているでしょう。ですが、今日の日を桜を見る度、思い出すでしょう。自分達には、心強い皆様がいることを。わしの亡き後も、皆様が力になってくれると信じております。では、わしの後継者に決まった者からご挨拶しましょう」

すっと前に出た理玖は、深々と頭を下げた。

「この度、ご縁がありまして、久世家の後継者になりました千堂 理玖と申します。お見知りの方もおられますでしょうが、ご挨拶さ
< 150 / 168 >

この作品をシェア

pagetop