夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
せていただきます。千堂家嫡男でした私が、久世家の後継者の道を選び、婿になりますのも、こちらの亜梨沙さんとのご縁があったからです」

私に向けて理玖の手が差し出されたその手を繋ぎ、半歩下がった場上で並んで頭を下げる。

「皆様がおられるこの場を借りて、少し失礼いたします」

そういうと、騒つく中、手を離した理玖は片足をついて屈む姿に、会場は息を止めたかのように静かになる。

「亜梨沙さん、幸せにします。あなたの飾らない姿に一目で恋に落ち、必死にここまで来ました。一緒に久世家を守って行きましょう」

そういうなり、私の左手を取り薬指に指輪をはめたのだ。

サイズがピッタリだったのは、どうしてかな?

小声で『さすが、俺』と自画自賛し、会場から見えないように影で小さくガッツポーズ。

まったく、可愛い男だ。

「はい。理玖様の久世家の重荷を背負う覚悟を見せていただいた時から、私もお慕いしておりました。お支えいたします」

ほんと、理玖もお爺ちゃんに負けないぐらい、策士だわ。

三文芝居の台本が、理玖という役者によって大作となったように、会場中が興奮で大喝采
となる様子に、祖父も満足顔。
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