夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

「いいんじゃないか。お披露目は終わったし、後は、理玖の顔つなぎの為のもの。その着物は国宝級の物だし、汚すかと思って心配しながら着てるのも酷かろう。適当に抜ければ良い。わしから理玖に祝いもやってある。それまで休んでおれ」

「爺さん、サンキュー」

「お父さん…」

「うるさいぞ。当主がいいというのだから良いのじゃ」

そう言われたら、何も言えなくなった父は、しょんぼりと肩を落としてしまった。

「さぁ、皆が待っておる。出るぞ」

当主の一言に皆が頷き、顔を引き締めたのだった。

祖父は元気なくせに退院したばかりという理由で、椅子に座り挨拶、その横で理玖と私が並んで両親がいる。後継のお披露目の時に比べれば歩き疲れることはないのだが、だがだ、前回の3倍以上は人がいる大会場で、私の頬は引き攣り限界。

会場に戻り、もう、どれだけの初対面の人達と挨拶を交わしたことか…。

理玖は、このような場は慣れてるからだろう。なんら変わらない様子。

「この度は理玖くん、亜梨沙さんおめでとう。もう、僕は嬉しいよ。あんなに小さかった理玖くんが、こんなに立派になって。千堂製薬を盛り立て行くんだろうと思っていたら、久世の後継者とは、世の中わからないものだね。今後ともよろしくたのむよ。あはは」
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