夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

「はい、ありがとうございます。今後とも見守りください」

にこりと笑えば、気をよくした男性は、理玖の肩を叩き横にずれていく。

次の人は、祖父と盛り上がっていているので小声でたずねる。

『今の人、千堂家の人だったの?』

『さぁ?知らねー』

おーい。適当かい…

『それより、今がチャンスだろ。そろそろ引っ込めよ。顔引き攣ってるぞ』

『この状況でどうやってよ』

『目眩でも起こしたふりして、ふらつけ』

はぁぁーん。簡単に言ってくれる。

でも、やるけとざ。

「…あっ」

「大丈夫か?」

横から、私を支える理玖は、私の下手くそな演技に肩を震わせる。

「どうしました?」

祖父の後ろに控えていたお付きの倉本さんが駆け寄った。

「どうも目眩がおきたみたいで」

理玖の心配そうな声に、周りがざわつく。

「それは大変です。お嬢様、控えの間でおやすみください。ご案内いたします」

「倉本さんは、当主のお側にいてください。婚約者が心配なので、僕が連れてきます。皆様、しばらく席を外すことをお許しください」

そう言われたら、誰もが「休ませてあげてください」と言うしかない。

「ここは、年寄りに任せておけ」
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