夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
私の独り言を拾った着付けをしてくれた人が、にこにこ笑う。
「なんでも、こうなることを見越したどなたかにお願いされたらしいですわ。なので、私達もこちらで待機しておりました」
そんなお願いする人なんて1人しかいないよね。
「着てきた服に着替えます」
「そちら、既に久世のお手伝いの方が皆様のお荷物とご一緒に持ち帰られました」
理玖め…と睨んだ先で、ニヤリと笑う男が腹立たしい。
「なら、仕方ないだろう。おばさんが用意してくれた着物着るしかないだろ」
はぁーと、ため息をつき諦めることにして、襖の影に隠れ、一人着替えることになる。
そして、襦袢は回収され、着物一式と一緒に着付けの方は帰っていく。
「何企んでるのよ」
肩を抱かれ、「怒るなって。これも禁欲生活に耐えた俺へのご褒美だと思ってさ。脱がすの楽しみに頑張ってくるぜ」
チュッとこめかみにキスした理玖の内ポケットから、カードキーが出てくる。
「部屋で待ってて」
そう言うと、胸の掛け襟の隙間に差し込んで、ズボンのポケットに手を入れ鼻歌を流しながら出て行った。
もうさ、禁欲生活が長すぎて頭の中、バカなんじゃない。
そう思いつつも、頬を緩め私も浮かれている。
渡されたカードキーの部屋に行けば、まぁ豪華なお部屋だった。
新婚カップルが泊まるのかと思うような室内の装飾。