夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

「今日が、初だけど、似合わない?」

「いや、似合ってる…『…から、困る』」

語尾は、あまり聞き取れなかったが、何かが困ったらしい。

「困るって、この格好じゃ、いけないとこでも行くの?」

「いや、違う…まぁ、俺の問題だから気にするな」

納得できなくて、口を尖らせたが誤魔化されてしまった。

「叔父さんに、車を借りたから乗って行くぞ」

「歩きじゃないんだ」

歩きだとばかり思っていた。手を繋いでもらえないのが、ちょっと残念に思う。

「歩いてもいいけど、タープにリクライニングチェアを2つ借りた。それに弁当だ。お前、持って歩けるか?」

「無理です」

意地悪な質問に、早々に降参して出発する。

車で5分もかからない天然ビーチは、昨日の夕方に行ったビーチと、また違った場所だった。

遠浅の浜辺を島の木々が周りを囲んでいる、孤立したビーチだ。

プライベートビーチとして、観光客が利用しているが、今日は、台風が近づいていることで、島には、島民と私達しかいない。島民には、遊ぶには物足りないビーチらしく、誰も来ない。

私達の貸し切りだった。

木陰にタープを張り、リクライニングチェアを並べて腰掛けたら、私のお腹が鳴った。

うっ…恥ずかしい。
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