夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
お皿もなく手掴みで持ち、冷蔵庫から水とコーヒーのペットボトルを選び、食事を始めた。
半熟の卵の黄身がとろとろで、パンにからんで美味しい。
「…子どもか」
口の端についていたらしい黄身を、理玖が笑いながら指先で拭い、その指をペロリと舐める。
「…ありがとう」
「彼女の世話をするっていうのも、意外と楽しいもんだ」
「彼女?」
「そう、彼女」
一気に頬が熱くなる。
その姿を見て、また、楽しそうに理玖は笑っていた。
食後、理玖の膝の上に座らされ、まったりと過ごした。お互いにスマホを触ったり、読書をしたりと…
時たま、いちゃついて、キスをして戯れる。
突然、私のスマホが鳴る。
「もしもし」
『亜梨沙、大丈夫なの?あら、声が変じゃない?…ちっとも連絡してこないんだから、心配で電話したのよ』
「あっ、ごめん。騒ぎすぎて声が枯れたの(すっかりと忘れていた)」
『もう、いい大人だから連絡がないのは無事な証拠って思うけども、台風が島付近を通るってニュースで、お父さんもお爺さまもそわそわしてたのよ。無事ならいいの』
「うん、大丈夫だよ。心配かけてごめんなさい」
『ほんとうに。帰ってきたら、お父さんとお爺さまにも心配かけたこと、謝りなさい』