夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

「はい」

『じゃあ、後、数日、リフレッシュしてらっしゃい』

言いたいことだけ言い、通話は切られた。

聞こえたであろう会話に、理玖は笑いを堪えていて苦笑い。

「娘が、休息先でできた彼氏の膝上で、親と電話しながら、こんなエロい格好でいるなんて見せられないな」

背後から、抱きしめる腕。そして、いたずらにうなじをなぞる声と唇に、吐息を漏らす。

このまま流されるわけにはいかない。

「ねぇ…」

「…うん」

甘ったるい理玖の声に、スイッチが入っていると確信した。

まだ行為になれない私には、理玖の欲情を真昼間から受けとめる勇気はない。

「島の台風の被害は、大丈夫だったの?」

「あー、早朝から、島住民であちこち見て回ったから、大丈夫だった。速度が速かったからか、大きな影響を受けなかったようだ。なぁ、今、聞くことか?」

私の肩に顎を乗せて、文句を言う。

「外に出てないから、気になって…」

「なら、見て回るか?どうせ、焼き上がった湯呑みも取りに行かないといけないからな」

「うん」

それから、準備ができると島を一周するコースで歩いたら、あちらこちらに、台風の被害が最小限ながら残っていた。

トタンの破片、木の枝などなど。
< 46 / 168 >

この作品をシェア

pagetop