夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

陶芸家の方のお家は大丈夫だったのだが、外壁のない屋根だけついた作業場の中は、雨風の影響を受けて、ぐちゃぐちゃになっていた。

「あぁ、来たか」

片付けをしていた陶芸家の男性が、汗を拭い、作業場を見渡し苦笑いする。

「大事な作品や道具は、家の中にしまったから無事なんだが、まさか、ここまで吹き込むとは思わなかったよ」

「あの、お手伝いします」

「いやいや、お客さんに手伝ってもらうわけにはいかないよ」

「でも、一人じゃ大変だろ」

遠慮する男性が断ろうとする前に、理玖と私は、濡れている品々を外に出して拭いたり、ゴミを拾い、床の水溜まりをモップで掻き出した。

一通り片付けがおわった頃、男性が冷たいお茶を出してくれた。

「助かったよ、ありがとうな。手伝ってくれた礼に、今回の陶芸料はいらないよ」

「いえ、そんなつもりで手伝ったわけじゃないので、お支払いさせてください」

「そうだぜ。困った時はお互いさまだろ。それとこれは別だから、支払いはさせてくれ。どうしても、気になるって言うなら、また、台風が来て、叔父さんとこが困ってたら、手伝ってやってくれたらいいよ。それでチャラだ」

「…わかった。それで手を打とう」

そして、支払いをしようと財布を出したが理玖に止められた。
< 47 / 168 >

この作品をシェア

pagetop