夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
「では、皆様、今宵を楽しんでお過ごしください。後ほど孫娘と共にご挨拶にまわりますので、それまでしばし、お時間を頂きます」
壇上から降りていく祖父に続いたら、早速、人の輪に囲まれた。
欲に目が眩んだ者達は、不躾な者ばかり。
我先にと、名を売り込もうと躍起になっている姿は滑稽だ。
中には、自分の息子を私の婿にと勧める怖いもの知らずな人もいる。
適当にその場を流していた祖父だったが、甚だ腹に据えかねたらしく、怒り心頭で、怖いもの知らずな人を会場から追い出してしまった。
「こちらが選ぶ立場だ。わしの眼中にも入らん愚息を孫に勧めるとは、おこがましいわ」
興奮で、ゴボゴボと苦しそうに咳き込む祖父。
いけない…久世家の親戚筋もいる中、弱みを見せる訳にはいかない。
「お爺さま、興奮されるから喉が詰まってしまったのね。あちらで冷たいお水をいただきましょう」
父と母に視線を送り、祖父を支えて会場の角に用意された席に連れて行ってもらい、私は、ウエイターを呼び止めお水を用意してもらうようお願いした。
その姿を、驚く表情で遠くから見ていた人物の視線に気がついていなかった。