シングルマザー・イン・NYC
その後、俺は父の地盤を継いで衆議院選挙に立候補し、当選した。
伯父がJ党の党首を務めており、また、祖父の代からの政治家一族なので、政界に篠田家の支持者は多い。
名だたる大御所政治家が、応援縁悦に駆け付けてくれた。
そして自分で言うのもちょっとおこがましい気はするが、若くて元・国際弁護士という経歴も、有権者には魅力的に映ったのだろう。
俺はJ党にすんなりと溶け込み、有力議員たちの覚えもめでたく、さらに弁護士という法律の専門家で英語ができることも、党内で重宝されることにつながった。
そんなわけで、当選から約一年経った今日――最後に希和を見かけてから二年が経っている――、俺は党内の中堅代議士五名の海外視察に同行し、ニューヨークとワシントンを訪問することになった。