シングルマザー・イン・NYC
促され、俺たちはアイランドキッチン周りに置かれたスツールに腰掛けた。
俺の膝にはケイが当たり前のように座っている。

「では、再会を祝して!」

「乾杯!」という大人の聲に、ケイのかわいい「かんぱ~い」が混ざる。

子供らしいしゃべり方ではあるが、しっかり英語だ。

ケイはあっという間にザクロジュースを飲み干し、

「おかわり!」

と言った。

「……この子、英語上手ですね。日本語は話せるんですか?」

「話せるけど、英語とスペイン語よりは覚えが遅いって」

「スペイン語?」

「ナニーの母国語がスペイン語なのよ。日本人のナニーも探せば見つかると思うんだけど、希和は今のナニーがいいって。すごくいい人だから。それにスペイン語も自然に習得できれば、将来有利でしょ」

「で、今日はそのナニーはどうされてるんですか?」

「六時までなんだ」

デイビッド氏が答えた。

今は六時半だ。

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