シングルマザー・イン・NYC
周囲の人が駆け寄る中、篠田さんが身を起こした。
スーツを着た男性数人が、大きな声を出している。
「大臣! 大丈夫ですか!?」
彼の腕の中の慧は、目を閉じたまま動かない。
真っ白だったTシャツが、真っ赤に染まっている。
「慧……!」
「希和、ごめん」
駆け寄った私を見上げ、篠田さんは力なく言った。
その右手の指先から鮮血が流れ、ぼたぼたと地面に滴っている。
「篠田さ……だいじょ……」
思わず屈んで支えようとすると、篠田さんは私にもたれかかるようにして、意識を失った。