シングルマザー・イン・NYC
慧に外傷はなく、軽い脳震盪を起こして気を失っていただけだった。

「ママ、僕、どうしよう」

搬送された先の病院で目を覚ました慧は、大粒の涙をポロポロこぼした。

「おじさんに、ブラちゃんもらったお礼を伝えたかったんだ――行っちゃう、と思ったら、追いかけなくちゃって――」

「大丈夫だよ」

そう慧に声をかけたのは、若い医師だ。

「君をかばった男性は、ちゃんと助けるから。他の先生が手術中だよ」

助ける?
そんなに危ないのか。

篠田さんの顔は蒼白だった。
呼びかけにも全く反応しない。
駆け付けた救急隊員の一人が「――止血! 動脈損傷してる!」と叫んだのが聞こえた。


「息子さんは念のため、一晩入院して様子をみましょう」

医師の判断で、看護師に案内された病室に慧と二人きりになると、不安はさらに増した。

気が付いたら涙がとめどなく流れ、それを見た慧もまた泣き出し、私たちは二人してしゃくり上げ、そして泣きつかれ、やがて抱き合ったまま眠ってしまった。
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