シングルマザー・イン・NYC
「でも、まあ」
しばらくして小沢さんが呟き、私は顔を上げた。
意外なことに彼は微笑んでいた。
「良かったですよ、助かって」
だが、すぐに神妙な面持ちに変わる。
硬い外見とは裏腹に、表情の豊かな人だ。
「斉藤さんもご覧になったと思いますが、かなりの出血だったでしょう。前腕部の動脈を切っていて、一時は危なかったんです」
「え……」
そこまでだったのか。
「処置が早かったので幸いにも一命をとりとめた、という状況です。本人は絶対に言わないと思いますけどね。それにしても、咄嗟の瞬間に別れた相手の子供を庇うなんて、普通出来ませんよ。さすがだと思いました」
小沢さんはうんうん、と頷いた。
「あの、そのことなんですけど……確かに私、『別れた相手』ではあるんですが……」
「はい?」
「実は……」
慧は篠田さんの子供で、アレックスの子供だというのは誤解なのだ、ということを、私はできるだけかいつまんで説明した。
呆気に取られて話を聞いていた小沢さんのコメントは、たった一言。
「わかりました、そのあたりも含めて調整させて頂きます」
しばらくして小沢さんが呟き、私は顔を上げた。
意外なことに彼は微笑んでいた。
「良かったですよ、助かって」
だが、すぐに神妙な面持ちに変わる。
硬い外見とは裏腹に、表情の豊かな人だ。
「斉藤さんもご覧になったと思いますが、かなりの出血だったでしょう。前腕部の動脈を切っていて、一時は危なかったんです」
「え……」
そこまでだったのか。
「処置が早かったので幸いにも一命をとりとめた、という状況です。本人は絶対に言わないと思いますけどね。それにしても、咄嗟の瞬間に別れた相手の子供を庇うなんて、普通出来ませんよ。さすがだと思いました」
小沢さんはうんうん、と頷いた。
「あの、そのことなんですけど……確かに私、『別れた相手』ではあるんですが……」
「はい?」
「実は……」
慧は篠田さんの子供で、アレックスの子供だというのは誤解なのだ、ということを、私はできるだけかいつまんで説明した。
呆気に取られて話を聞いていた小沢さんのコメントは、たった一言。
「わかりました、そのあたりも含めて調整させて頂きます」