シングルマザー・イン・NYC
翌朝。

退院手続きを済ませた私は、慧を連れて篠田さんの病室を訪ねた。

ドアを開けてくれたのは小沢さんだったが、彼は

「おはようございます。初めまして、慧くん。小沢です、よろしく」

とだけ言うと、「しばらく出てきますので」と、部屋を後にした。

残ったのは私たち三人。

篠田さんはベッドの背もたれに寄りかかって身体を起こしていて、穏やかな表情で私たちを見つめている。

まだ顔色は良くないし、包帯を巻かれた右腕と手首の点滴が痛々しいが、昨夜よりずっと、しっかりした感じがする。

私とつないだ慧の右手に、ぎゅっと力が入った。
人懐こい慧が、挨拶もせず黙りこくっているのはとても珍しい。
昨日のことがよほどショックだったのだろう。

篠田さんに会わせるのは早かっただろうか。

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