シングルマザー・イン・NYC
「俺が一番驚いたのは、スープ食べながらが歩いてた女性」

「……器用だね。私は地下鉄でサラダの人」

ほんと、何でも器用にどこでも食べるのだ。
そのせいだろうか、街のいたるところにゴミ箱が設置されている。


サラベスに着いてお店のドアを開けると、感じのいい店員さんが満面の笑顔で迎えてくれた。

天気がよくて気持ちいいね、とか、ちょっとした挨拶を英語でかわし、席に案内してもらう。

篠田さんはクラシック・ハム・ベネディクト、私はレモンとリコッタのパンケーキ。
それにコーヒー。
ここのコーヒーはとてもおいしい。

「さて、今日はどこに行こうか」

篠田さんがスマホをテーブルに置いた。
表示されているのは地下鉄の路線マップ。

「そうですね……ずっと遠くまで行ってみたいかも」

NYの地下鉄はどこまで乗っても均一料金。メトロカードを使えば1回2.75ドル。

「適当な料金システムだよなあ。助かるけど」

篠田さんの視線は路線マップを追っている。

「よし、じゃあコニーアイランドにしよう。海」

「いいですね、楽しそう!」

意外な選択にわくわくした。

そいうわけでこの日、私たちは地下鉄で約一時間のところにあるビーチに行ってみることにした。
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