シングルマザー・イン・NYC
コニーアイランドは寒かった……。

ビーチは閑散としていて、海風は冷たい。

砂浜で気持ちよく日向ぼっこ、という篠田さんと私の目論見は失敗に終わった。

「寒いな」
「うん」

波打ち際で、二人で立ちすくむ。

「こうしたらちょっとはマシかな」

隣にいた篠田さんが私の背後に立ったかと思うと、両腕で私を抱きすくめた。

けっこう驚いた。

でも肩にかかる篠田さんの重みは心地よい。

「……嫌じゃない?」

篠田さんがささやき、彼の吐息を感じた。
頷いて、篠田さんの顔を見上げる。

すると――お互いの唇が軽く触れあって、離れて、そしてまた触れて、今度は――キスをした。


< 21 / 251 >

この作品をシェア

pagetop