シングルマザー・イン・NYC
先にシャワーを浴びたのは篠田さんで、ガウンを着てバスルームから出てきた私を、ベッドから真っすぐ見つめた。
私はベッドにのって前かがみになり、そっと口づけた。

篠田さんは私の腰に腕を回してぎゅっと抱きしめ、口づけを返す。
そしてそれはだんだんと深く、激しく、下へと移っていく。

二人とも石鹸の香りに包まれているけれど、篠田さんの首筋は、それだけじゃなくて、好ましい匂いがした。

私はきっと本能的に好きなのだ、この人が。

どこを触れられても、嫌じゃない。

嬉しい。

小さな炎が灯っていく。

篠田さんも同じだといいな。

「希和」

私の上になった篠田さんが、吐息交じりの声で言った。

「きれいだ」

「篠田さんも」

「え? 俺が?」

吐息に笑いが混ざる。

……細く見えるのに意外に筋肉質で、きれいな体だなと思ったのだけど。
たしかに、男の人に向かって「きれい」は変か。

私も笑ってしまい、言い直した。

「とても――素敵」

「……理性が吹っ飛ぶ」

私もだ。

それから私たちは無我夢中で絡み合って、一つに溶けあった。
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