セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「それまで俺にとって花那は良い協力者だった、ずっとその関係が続くんだと思ってて。そこに愛情が無くてもそれで構わない、それが俺達の結婚だと考えていたんだ。だけど今は……」
「……今は、違うというの?」
意外な颯真の言葉に花那は早く続きが聞きたいと思った。もし颯真の中で何かが変わるとすれば、それは花那の望む形である可能性もある。
記憶のあるなし関係なく、花那という人となりをまっすぐに見てくれているかもしれない。そう期待せずにはいられなかった。
「あの夜……花那が家から出ていって、俺は何も考えられなくなった。気付いたら君を追いかけて市役所に向かって走っていた。花那がすぐに離婚届けを出し向かうのは分かってた、でもその途中で事故が……」
「あの時、私に声をかけてくれたのは颯真さんだったの?」
花那はまだ覚えていた、暗い闇の中で誰かが自分を必死で呼んでいる声を。その声を頼りに彼女はまた目を覚ますことが出来たのだから。
——花那! しっかりしろ、花那! もう一度、目を開けてくれ。お願いだ、花那——
あんなに一生懸命な颯真の声を花那は一度だって聞いたことは無かった、また聞くことも無いと思っていたのに。祈るような彼の言葉には嘘は無かったはず。
「花那が俺の前からいなくなる、それをハッキリと見せられたみたいで。もの凄く苦しくて心がどうにかなるかと思った」
「……だから、黙っていたの? 本当の事を」