セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「花那に傍にいて欲しい、それ以上は何も望まないから……」
まるで何かに祈るような颯真の声に、花那の胸が今までにないほどの甘いトキメキをもたらしてくる。愛されている、それは間違いないと思えるほどに。
花那の手を掴む颯真の力は思ったよりも強く、その気にならないと振り払えない気がした。強く拒絶されない限りは諦めないとでも言うように。
「もう、契約は更新してあげないわよ? それでもいいの?」
「そんなのはいらない、花那が本心で俺の隣にいてくれることが大事なんだから」
飾らない真っ直ぐな言葉が颯真らしい、でもそんなところがどうしようもなく好きなんだと花那は思う。彼が医者だからとか、深澤カンパニーの御曹司だからなんてどうだっていい。
――真面目で融通が利かなくて……それでも私に向かって優しく笑う、この人が誰よりも愛しい。
「いてあげるわ、今度こそ。颯真さんが嫌になるくらいに傍に」
「残念だがそんな日はこない、これが俺の最初で最後の恋だから」
花那は颯真が今まで人を好きになれなかった理由を知らない、だがそれはこれから知ればいい事。二人はこれから長い時間を共に過ごす約束をしたのだから。
どちらからともなくゆっくり抱き合って、残りの時間を今までの二人の隙間を埋めるように寄り添い合って過ごした。