セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「本当にいいの? このまま仕事を休んでしまって」
「ああ、院長から今日は二人でゆっくり話し合うように言われている。それにもう代わりの医師にも頼んできたし」
花那は真面目な颯真が自分の事で仕事を休んでしまったことを申し訳なく思ったが、彼女とは対照的に颯真はスッキリとした顔をしていた。
ずっと言えなかった言葉を伝えることができ、花那と想い合えた。それだけで一日くらい仕事の事も忘れて良いと思うくらいに。
二人はカラオケを出て、今はもう車の中にいる。すぐに家に帰ろうかとも考えたが、少し二人でドライブをする事にしたのだ。
今まで言えずに我慢していた気持ちも、気になっていたこともゆっくり話すことが出来て二人の距離は前よりずっと近くなる。
「ここ、俺のお気に入りなんだ。昔から一人になりたいときはこの場所に来るって決めていた」
「いいの? そんな所に私を連れてきて」
見晴らしのいい大きな公園には、大きな展望台が建てられている。二人でそこに登れば颯真が大人になるまで暮らしていた街並みが見下ろせた。
――もうどれぐらい帰ってないだろうか。今度は花那を一緒に連れて行きたい、出来るならば。
そう思うがまだそれを花那に言うことは出来ない、彼女の考えている家庭と颯真が育ったそれはあまりにもかけ離れたものだから。
「いいんだ、花那にだけは知っていて欲しい。俺がずっと見てきた景色もその時の思いも、全部」
「颯真さん……」