セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
颯真のその気持ちだけで彼女は嬉しくなる。ずっと一方通行だった花那の想いだったのに、今はちゃんと二人で向き合えるようになった。
もう隠さなくてもいい、颯真の幸せのためにといって花那が我慢する必要もないのだ。
「そして同じように花那の好きな景色も、いろんな思い出も俺に話して欲しいんだ。もう君について知らないことがないくらい、全部聞いておきたい」
「意外と欲張りなのね、颯真さんって」
颯真の方ももう隠すことが無くなったためか、素直な感情を花那にぶつけてくる。一気に距離を詰めては花那を困らせるかもしれないと分かってるのに、その気持ちを押さえられなくなって。
「そう言われても、どうしようもないんだ。俺にとってはこれが初めての恋だから」
遅く咲いた颯真の恋は、冷静沈着なはずの彼をどんどん狂わせていく。その名前のように美しい花那に惹き寄せられて、この恋に溺れていくのを止められない。
「私は二度目の恋だわ。こうして颯真さんに……二度目の恋をしてる」
記憶が無くなっても花那は颯真に惹かれた、こうして同じ人に二度恋をしている。今度は前とは違う、互いに想い合う幸せな恋を……
「そろそろ帰ろうか、君に返さなければならない物もあるし」
「そうね、帰りましょうか」
颯真の言っている返さなければならない物、それはきっとあの日に無くした花那の少ない荷物。探しても見つからなかった離婚届も、その中に残っているのだろうかとぼんやり花那は考えていた。