セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「肉がいいか、それとも魚?」
「水族館に来て魚を食べるのはちょっと……」
颯真に聞かれて、少し考えた後に花那はそう答える。普段魚を食べないわけではないが、こうして鑑賞した後に食べるのはさすがに気が引ける。
同じように牧場などに行った日は、肉が食べられなくなるような性格だった。
「そうか、それもそうだな。じゃあ、あのパスタの店にしようか?」
「ええ、それでいいと思うわ」
涼しげな水族館ではこってりした料理よりあっさりしていた方がいい、そう思った花那は颯真に賛成した。
二人でパスタの店へ、運良く席がまだ空いていて花那と颯真はテーブル席へと案内された。テーブルに置かれたメニューを開いた颯真は顎に手を当てる。
「……へえ、結構種類があるな。花那、君はどれにする?」
颯真の何気ない仕草に見惚れてしまった花那は、彼の質問に答えるのが遅れてしまう。
「……花那、どうかしたのか?」
「あ、いいえ! 何でもないの。そうね、私はこのキノコとベーコンのパスタにしようかしら」
花那は慌てて目に入った一つのパスタを指さしてそう言った。まさか颯真に見惚れてしまってメニューを見ていなかったなんて言えるはずもなく。
そんな花那を不思議そうに見ながらも、颯真は自分のメニューを決めると店員を呼び二人分の注文を済ませた。