セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「それ、美味しい?」
しばらくは黙って食べていた二人だったが、何となく颯真は花那にそう話しかけた。
颯真は割と無難なミートソースを頼むことが多い、和風のパスタを頼んだ花那にその感想を聞いてみたくなったようだ。
「ええ、颯真さんも一口食べてみる?」
何気ない花那の一言に颯真は驚いた。今までの花那であれば「美味しいです」の一言で終わっていたのに、まさかそんな事を言われるとは。
花那はそんな颯真の反応に気付かず、フォークにパスタを巻いて彼に差し出した。
「はい、どうぞ?」
「……」
返事をしない颯真を見て、花那はしまったと思った。もしも嫌いで味はどうだと聞いていたのなら、余計な事をしてしまったのかもしれない。
花那は颯真に差し出した手を引っ込めようかどうか迷って……
「あの、嫌いだったのならごめんなさい。私、そういうの気付けなくて」
「いや、嫌いじゃない。じゃあ、一口もらうよ」
そう言って颯真は差し出されて花那の手首を掴んで、自分の方へと近づける。そのまま花那のフォークを口の中へ。
――間接キスを意識するなんて、なんだか思春期の男子にでもなった気分だな。
そんな颯真を見てやっと自分たちが間接キスをしたのだと気付き、頬を染める花那。掴まれた手首も、颯真からの視線も、赤くなった頬も異常に熱く感じていた。