セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「少しここで待っててくれ」
家に着くなり颯真はリビングに花那を待たせて自分の部屋へと入っていく。そんな颯真をじっと待っているか迷った後、花那はお茶を淹れるためにキッチンに向かった。
颯真が考えていることが花那には全く分からない。何かを決意した様子を見せたかと思えば、彼女に謝らなければならないと言ったり。
こんな時ふと考えるのは、前の自分だったら颯真の考えていることが分かったのだろうかという事。今の花那は自分を過去の花那と比べ、それによって劣等感ばかり感じるようになっていた。
紅茶を淹れ終えると、それをソファーのそばにあるガラステーブルに置く。まだ戻ってこない颯真を待つために彼女はソファーに座った。
カチャリと扉の開く音がして、廊下を歩く颯真の足音が聞こえてきた。
「お待たせ、花那。これを君に渡そうと思って……」
「これは、何ですか?」
手のひらサイズの箱の中には何が入っているのか、渡され手に取ると思ったよりも重たかった。そのまま箱を開けようとすると、その手を颯真に止められる。
どうしたのかと思い顔を上げ、颯真を見ると……
「大事なものを隠していてごめん」
「……え?」
真剣な颯真の表情に花那は戸惑う。彼の言った隠していたとはどういう事なのか、花那はその箱と颯真を交互に見つめる。