ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


全部を話終えると。


となりに座っていた白井さんが、俺の体を優しく包み込んでくれた。


大好きな子に、こんなふうに触れてもらえる日が来るなんて。


「し、白井さん?」


思っても見なかったことで、一気に心拍数が上がる。


「頑張ったね、織くん」


声が震えている。
鼻を啜る音がして。


俺のために泣いてくれているんだとわかる。


だから好きなんだ。


痛みを知っているからこそ、誰かのそれにも人一倍寄り添える子だから。


「辛かったよね」


「……っ、」


「話してくれて、本当にありがとう」


ギュッと、白井さんが抱きしめる力を強めて。


「……はっ!!あっ、ごごごごごめんなさい!!許可なくなんてことを!!」


突然、我に返って俺から離れようとした彼女の手を掴む。


こうやっていちいち慌てふためく白井さんも愛おしくて。


「いいから、もう少し、このままがいい」


泣いた顔なんて見られたくないのもあるけれど。


単純に、キミにもっと触れたいから。
俺のこと、好きになってよ。

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