ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
「……なればいいよ」
顔をわずかに離した織くんが、鼻先が触れそうな近さのまま言う。
「なっ……」
「俺にはいっぱい欲張りになってよ。俺の方がずっと欲張りだから」
織くんの手のひらが私の頬を包み込んで指先が優しく撫でる。
「織くん……織くんは、なんでそんなに私のこと……」
こんな平凡な、何もない私のことをどうしてここまで好いてくれるんだろうか。
「……俺ね、高校に入学する前から、白井さんのこと好きなんだよ」
「えっ?!」
「白井さんが俺の存在を知ってくれるずっと前から」
え。
そんなこと……。
「その話、聞いてくれる?」
「も、もちろんだよ!」
私はそう返事をしてから、まずは織くんをうちにあげて。
ダイニングテーブルに織くんを案内して、温かいお茶を入れてから。
彼の話に耳を傾けた。
織くんが、私を初めて見かけた日の話──。