ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


あの日、隣の席にいたのが織くんだったなんて。


ぜんっぜん知らなかった。


広夢のことしか頭になかったもんで……。


まじですか。


「その時期の俺、友達にああいうことされてたのもあって、すごくひねくれてたんだよね。世の中の全てに不満だらけだったというか。なんで俺だけこんな目に遭わなきゃいけないんだって」


織くん……。
そうだよね。
小さい頃に突然お父さんが亡くなったり、好きだった友達から嫌がらせされたり。


辛い経験を何度もしてきたからこそ、私みたいな人間にも、寄り添ってくれる優しい人なんだって感じる。


「でも、白井さんたちの話を聞いて、環境が変わらなくても自分の考え方を変えるだけで、見える景色が変わることってあるのかもしれなって思えたんだ。あの時の白井さん、失恋してるのになんだかキラキラ輝いてて。素敵だって思った」


織くんがあんまり優しく微笑んで言うから、照れてしまう。


「……それに、あの日、フィッシュバーガー食べてたんだ。俺」


「えっ?!そ、そうなの?!」


当時同じクラスで友達だった輝ちゃんとの会話を思い出す。


『運命のフィッシュバーガー王子との出会いのために!頑張ろう!初花!』


わぁ…冗談で笑っていたそれが本当になるなんて。


というか、織くんと同じものを食べていたなんて。


それだけでニヤけそうになるぐらい嬉しくて。


今は同じ屋根の下で、愛菜さんの美味しいご飯を一緒に食べているんだから。

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