エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
夫婦となって六日間、雅樹が多忙のため、初日以外はゆっくり話す暇はなかった。

けれども睡眠時間を削って友里のためにお弁当を作ってくれたり、家事を分担しようとしてくれたりと、優しさを見せてくれる。

『はい。君の弁当』と少々ぶっきらぼうな渡し方であったが、不機嫌だからではなく、そういう話し方が彼の自然体なのだと知った。

怖かった最初の印象は消え、今は雅樹を苦手に感じていないが、まだ打ち解けるというところまでは至っていない。

雅樹が自宅に帰ってくると、どうしても緊張してしまう。

(最高の旦那様でも、恋愛結婚じゃないからね。離婚するかもしれないし、羨ましがられるような結婚じゃないんだよ……)

確かに入籍は済ませているのに、偽物の夫婦のような気がしている。

離婚するのかしないのか、決めるのは半年後。それまではきっと体の関係もない。

(雅樹さんも求めてこないし、清い関係のままだと思っていいのよね……?)

友里の心を読んだわけではないのだろうけど、真由美がニタリと意味ありげな笑い方をした。

「香坂先生は、上手?」

「家事のこと?」

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