エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
たまらず中断を求めたのに、「限界? ここからが本番だよ」と告げられた。

足を抱えるように広げられ、友里の中に緊張が走る。

「ま、雅樹さん……!」

「力抜いて。大丈夫だから」

そう言われても、どうしても力んでしまい困っていると、雅樹が突然おかしなことを聞いてきた。

「弁当のおかず、なにが一番美味しかった?」

「え?」

こんな状況だというのに、素直な友里は真面目に考えだす。

ミニハンバーグに、ブロッコリーとエビの炒め物、卵焼きにはタラコと大葉が入っていた。

里芋の煮物も味が染みていて、朝の短時間で作ったとは思えないほど手の込んだお弁当だった。

「どれも美味しかったんですけど、私はおむすびが……」

食べやすい小さな俵型で、梅、鮭、昆布の三種類の味。

優しくてほんわか温かい気持ちにさせられるおむすびであった。

「そう。サンドイッチにしようか迷ったんだが、おむすびにして正解だった」

友里はフフと笑って問いかける。

「雅樹さんは、なにが好きですか? 次は私が作りますので教え……あっ!」

その瞬間、下腹部に痛みが走り抜けた。

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