蒼月の約束

あの緑色の瞳には覚えがある。あれは絶対、レ―ヴだ。

王族に恨みがあると言っていた。

女王の手下ではないということは、狙いは、王子なのかも知れない…。


エルミアは、パッと王子の手を離すと明るく言った。

「もう夜も遅いし、また明日話しましょうか」

「しかし…」

王子が何か言いかける前にグウェンに向き直ってエルミアは聞く。

「王子は完治までまだかかるんでしょ?」

「はい」

「じゃあ、ちゃんと安静にしてないと」
エルミアは腰に手を当てて、王子に言った。


「また明日来ますからね。ちゃんと寝て下さいね」

そう言ってさっさと部屋から出るエルミア。


体が震えているのを気づかれる前にその場を離れたかった。



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