蒼月の約束
嫌な予感しかしない…。
エルミアは暗闇の中で何度も寝返りを打った。
もし、本当に王子が狙いだったらどうしよう…。
精霊の道具について助言してきたレ―ヴであれば、それらがどこにあるのか既に知っていたはずだ。
これから行く先に先回りされている可能性も高い。
『僕は君の敵じゃない』
その言葉を思い出した。
私の敵ではないけど、王子の敵ではあるってこと…?
女王の手下ではないの?
考えれば考えるほど頭は混乱していく。
エルミアは体を起こし、ゆっくりと音を立てずに王子の寝室へと向かった。
安らかに眠っている姿を確認したらすぐ戻るつもりだった。
しかし、王子の寝ている姿を、ベッドの側で見ている時、いきなり手を掴まれた。
「お、起こしちゃった…?」
小声でエルミアは謝った。
「もう戻るので…」
王子は一瞬、薄目を開けたがかろうじて聞こえる声で「少しこのままで…」と言ってまた眠りについた。
手を掴まれたまま、エルミアはその場に立ち尽くしていた。