妹を溺愛する兄が先に結婚しました
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神奈川県川崎市……
折部 大貴 様
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それは、俺宛ての手紙だった。
丸っこい字で書かれた住所は、前住んでいた家のもの。
つまり、中1の時に引っ越した先。
名前は書いてないけど、誰からの手紙かは一目瞭然だった。
「お、手紙だ!」
「懐かしい!一時期流行ったよね」
「なんだよ、これ……」
段ボール箱を覗く真琴たちの楽しそうな声を無視して、お兄さんを見た。
「お前は、結咲が手紙を出さなかったと思っているみたいだけどな。あいつはちゃんと書いてたんだよ。書いて、俺に渡してた。
……それを俺が出さなかった」
「なんで……?」
「大切な妹の恋を応援するわけねぇだろ」
そんなことを平然と口にする真崎の兄さん。
言葉を続ける。
「別に俺は手紙を隠したことを悪いと思ってないし、後悔もしてない。
……ただ。そのせいで妹が嫌な目に遭ってるっていうなら、それは全部俺のせいだから」
少しだけ悲しそうな目を見せて、そう言い切った。