色づいて、濁り、落ちていく
「じゃあ、行ってくるね」
美冬の頭をポンポンを撫で、いつもより嬉しそうに出ていった氷河。
「い、いってらっしゃい」
美冬も小さく手を振った。

「あ、美冬だ!おはよ」
氷河の後ろ姿を見つめていると、仁士に声をかけられた。
「おはようございます、峰原さん」
「なんで、顔真っ赤なの?
体調悪いの?」
「い、いえ…」
「んー?あ!やっと恋人同士になったとか?
じゃあ…昨日の夜はヤったの?」
「━━━!!?
ちょっ…峰原さん!!」
「プッ…!!わかりやす(笑)
どうだった?若って、上手いからね!」
「してません!!」
とにかく察しがいい仁士。
美冬の表情や言動を見て、だいたいのことがわかり一人盛り上がる。

「え?じゃあ…何?」
「昨日、お付き合いすることになりました」
「やっぱり!じゃあ、なんで?
あの若がヤらないなんて、考えられない!
だいたい、よくこの三ヶ月間我慢させてたよねー?」
「え?」
「若って、我慢なんて普段しないから。
今まで我慢できてたのは、恋人じゃなかったから。
俺がかなり言い聞かせたんだよ。
美冬みたいなタイプは、恋人でもない相手とそうゆうことすると嫌われるよって!
だから恋人になった瞬間にしたいようにすると思ってた」
「私が拒んだので…」
「それを若が受け入れたの?」
「はい。でも、キスはしました…」
「キスだけ?あり得ねぇ…」
「ご、ごめんなさい…」
「いや、美冬が悪いとかないよ…
ただ、それだけ美冬のこと愛してんだなぁと思って…」
「でも、今日はもう我慢しないって言われました。
だから、覚悟しなきゃなって考えたんです。
ここまで待たせたし」

「……なんか、こえーな…」
ボソッと呟く、仁士。
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