色づいて、濁り、落ちていく
氷河は屋敷に帰りつき、ベットに向かった。
氷河が出た時と同じ状態で、美冬は眠っていた。

一度シャワーを浴び、美冬の首の下に腕を滑り込ませ氷河も横になった。
そして頬を撫でながら呟いた。

「美冬、もう…二度と君を“一人”にしないから」


「「「え……!?」」」

次の日の朝食中。
氷河の言った言葉に、美冬含め全員が驚愕する。

「氷河さん、今、何て?」
「今日から、美冬と片時も放れない。
場所がどこだろうが、どこにでも連れて行く」
「ですが、若━━」

「うるさい!!僕の命令は“絶対”だ!
美冬、もう一人にしないから」
氷河は真っ直ぐ美冬を見つめ、言い放った。

「それなら僕は、嫉妬することもない。
変な女に、美冬が傷つけられることもない」
「でも、氷河さん。いくらなんでも仕事中は、私は邪魔ですよね?」
「……本当はずっと、考えてた」
「え?」
「美冬と恋人同士になって少しした辺りから、美冬が仁士や金藤達といるのを見たり、話したりしてるの見てると胸が痛くて、頭が沸騰しそうな位熱くなってて…
ずっと…この気持ちはなんだろ?って思ってた。
昨日やっと、この気持ちの正体がわかった。
僕は、美冬以外の人間全てに嫉妬してる。
美冬を僕“だけ”のモノにしたい。
僕“だけ”に愛され、僕“だけ”と話をして、僕“だけ”が触れる。
美冬が僕“だけ”しか見ないようにしたい」

仁士の恐れていた事が起ころうとしていた。
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