平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
彼は微笑み、リズだけを見ていた。

ぼうっと見とれている間に、腰を抱いた彼に導かれて移動する。

貴族で溢れかえった会場内は、まるで別世界みたいに煌びやかだ。眩いシャンデリア、令嬢たちの豪華ドレス。髪を全てアップした彼女たちの耳と首元で宝石の飾りが輝き、男性たちも高級な生地を使った衣装で着飾っている。

ダンスフロアにリズとジェドが来たことを見計らってか、流れていた演奏音が、一層優雅な宮廷音楽を奏で始めた。

「大丈夫だ、俺がリードするから」

ダンスに不安があると思ったのか、向かい合った彼が先日と同じように言う。

彼と踊ることに不安なんてない。ジェドが一緒に踊ってくれるのなら、そんなもの感じる暇だってもうないのだ。

けれど、引き続き彼との間のぎこちなさに引っ張られた。

言葉が出てこないでいると、ジェドは返事を求めなかった。繰り返してきたダンスの呼吸で、互いの手を取り、腰を支えて踊り出す。

――ああ、なんて美しい人なのかしら。

踊りながらリズは、久しぶりにジェドの目を真っすぐ見たように感じた。彼の瞳は濃く青く、全てを包み込むように美しくとても凛々しい。

もう何度だって見てきたけれど、体の芯に熱がともるような甘さを覚えて、周りで踊る人たちの存在も忘れてしまう。

婚約してから、仕事の合間に彼とダンスの練習をしてきた。

< 120 / 213 >

この作品をシェア

pagetop