平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
その顔も、声も、とても必死だった。苦しいくらいに、彼が今日まで悩んでいたことが伝わってきた。

違うんだと思って、リズは弱々しいながらも首を横に振った。

「不安にさせてしまって、ごめんなさい。団長様、いえ、ジェド」

そっと彼の胸に手を添え、しっかりと見上げて告げる。

「私が好きなのは、今もジェドだけです」

ジェドが、ホッとして強張りを解いた。結婚前の恋移りをしかけていると、本気で心配していたらしい。

「そうか。怖いことを言ってすまない。貴族の友人たちのジョークを真に受けてしまうくらい余裕がなくて」

「いいえ、違うんです。悪いのは私の方で」

「リズは何も悪くない。反省してる」

踊るのもやめて、ぎゅっと抱き締められた。

その腕の中の温かさに、直前まであったぎこちなさも溝も、静かに埋まっていくのを感じた。リズは涙が込み上げそうになった。

「違うの。お互いに結婚式のことで、緊張しているのも確かなんです。……だから、団長様は何も悪くないんです」

悪いのは、リズの方だ。

この先を共に生きていくと望んでくれた彼が、話を聞かないなんて、どうして想像してしまったのだろう。そんなこと、あるはずがないのに。

コーマックの言う通りだ。ジェドなら、きちんと聞いてくれるだろう。そして、それから彼なりに意見を言ってくるはずだ。

「『ジェド』って、また呼んでくれないの?」

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