平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
だが呼ぶコーマックの声も聞き終わらないうちに、ジェドが緊迫した様子でサッと顔を上げ、会場内へ声を響かせた。

「ニコラス! 無事か!」

そういえば、遅れて会場に来ると言っていた。陛下のところにいなかったとすると、まだ合流していないのか。

リズは気づいて緊張した。外に待機しているカルロたちなら鼻も利くが、こんなに人の多い中に呼ぶわけにもいかない。

「団長様、ここは私が捜しに――」

そう言いかけた声が、向こうから返ってきて陽気なかけ声と重なった。

「おーいっ、大親友よ! 俺を呼んだか!?」

そこには、一回り大きな幼獣を両手に抱っこして、走ってくるニコラスの姿があった。ジェドが密かに息を吐く。

「無事だったか」

「今さっき到着したんだが、……いったいコレはなんだ?」

ニコラスが、もう数十人もの参加者たちが伏している床ではなく、幼獣とあんぐりと口を開けて頭上を見上げる。

不審に思ったジェドが見上げる。そこには異変はなくて、リズも不思議に思いながらニコラスへ目を戻した。

「いったい何を見ているんだ?」

「何って、ほら、コレだ。青い薔薇の花弁が、たくさん上に浮かんでいくんだ」

ニコラスが指差すと、幼獣も短い前足を持ち上げて「みゅっ」と鳴く。

幼獣が反応しているということは何かあるのだ。しかし、ジェドたちと一緒になって注意深く見ても、リズの目にも何も映らない。

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