平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
チッと舌打ちする顔で、彼は苛立ったように尻尾で枯れ葉を叩く。

《そもそも、お前も彼女を捨てた身だろう。とっとと、去れ》

「捨てたくて捨てたわけじゃないわ。魔女の掟なの。今の時代、母が魔女だと知られれば素質を継がなくたって迫害されて殺されてしまう」

《ふんっ。我らは、人間の事情など知らん。お前は人の匂いがしないから、排除しないでやっているんだ》

「精霊契約があって、存在は人から外れているからね。だから私たち魔女は、人の世への興味関心もなくなる――なんとなく、暇で来ただけよ」

嘘だ。

けれどガルガロスは、何も言わなかった。さらばだと長い尻尾を翻し、アティーシャの元へと向かう。その背に魔女が告げる。

「気をつけて。王家の動きがあやしくなってきているわ」

彼は振り返らなかった。



魔女は、獣がいなくなると人らしい表情を浮かべ、きゅっと唇を噛んだ。

アティーシャは、彼女が腹を痛めて一人で生んだ娘だった。魔女同盟の規律に従って、赤子だった彼女を村に置き去りにした。

身が張り裂けそうだった。

人よりも精霊に近い存在になったはずなのに、我が子への愛情は増すばかりで、彼女はじっと隠れていることもできなかった。

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